FOSS4G 開発者の為の、図形演算ライブラリガイド

これは FOSS4G Advent Calendar 2013 と、Xamarin Advent Calendar 2013 のクロスポストになります。

地図に関するシステムを作っていますと、必ず必要になるのが図形と図形の演算です。(結合 とか、分割とか、そういうの)

私にとっては自分で実装するのは、とても大変な部類なのですが、今日では、いろいろなオープンソースライブラリが存在していて、それを使わせて頂いています。

今日は、それらの紹介をします。

図形演算ライブラリ達

JTS Topology Suite (JTS)

これがなければ死んでいた案件多し。いろいろな言語に移植され、事実上標準のライブラリ。LGPL ということだけが要注意であり少し残念。

GEOS

JTS を C++ に移植したライブラリ。なので機能、ライセンスともに JTS とほとんど一緒。osgeo のツールをビルドする時に出てくること多い。

Net Topology Suite (NTS)

JTS を .NET に移植したライブラリ。最初見た頃は、Not Implemented な機能が多かったけど、だいぶ揃ってきたのかな。

Esri Geometry API for Java

この間の FOSS4GJ 2013 Tokyo で教えてもらった、Yet Another 図形演算ライブラリ。GIS の世界シェアトップである ESRI社がオープンソースで公開しています。だから品質は折り紙つき(のハズだ)。Apache ライセンスなのも嬉しい。

Clipper

名前の通り Clip(つまり AND(Intersection)演算)と Offset(Buffer の片側だけ)に特化したライブラリ。

Boost:Geometry

そういえば、C++ の拡張ライブラリである Boost にも Geometry が入ったのでしたね。Screenshot がなかなか圧巻です。

DotSpatial

ライブラリというよりはアプリケーションなのかな?ソースコードの中に DotSpatial.Topology などが見えます。

JSTS Topology Suite

探してみたらやっぱりあった JTS の JavaScript への移植版。ライセンスは(ry

GeoScript

JavaScript製のライブラリ。最近は D3.js による視覚表現が流行ってきたので、内部ではこのようなライブラリが使われているのでしょうか。

試しに使ってみよう

Xamarin Advent Calendar と絡めるために無理やり Xamarin Studio で、という事は必然的に Net Topology Suite を使ってみます。

Xamarin Studio は、Android/iOS アプリを作るためだけじゃなくて、コンソールアプリとかも作ることができますよ、と言いたいだけです。

準備

まず Xamarin Studio で C# → コンソールアプリのプロジェクトを作ります。

次に、まず NTS を参照に追加しますが、Nuget という仕組みを使います。 Xamarin Studio に Nuget を導入する手順は、

を参考にしてください。

コードを書く

こんな感じです。

//Program.cs
using System;
using GeoAPI.Geometries;
using NetTopologySuite;

namespace TopologyTest
{
    class MainClass
    {
        public static void Main(string[] args)
        {
            var service = NtsGeometryServices.Instance;
            var gf = service.CreateGeometryFactory();

            var polygonA = gf.CreatePolygon(new Coordinate[]
                {
                    new Coordinate(34.0, 136.0),
                    new Coordinate(34.0, 138.0),
                    new Coordinate(37.0, 138.0),
                    new Coordinate(37.0, 136.0),
                    new Coordinate(34.0, 136.0)
                });

            var polygonB = gf.CreatePolygon(new Coordinate[]
                {
                    new Coordinate(36.0, 137.0),
                    new Coordinate(35.0, 137.0),
                    new Coordinate(35.0, 140.0),
                    new Coordinate(36.0, 137.0)
                });

            polygonA.Intersection(polygonB).ToConsole("Intersection");
            polygonA.Union(polygonB).ToConsole("Union");
            polygonA.SymmetricDifference(polygonB).ToConsole("SymmetricDifference");
            polygonA.Difference(polygonB).ToConsole("Difference");
            polygonB.Buffer(0.5).ToConsole("Buffer");
        }

    }

    public static class GeomExtensions
    {
        public static void ToConsole(this IGeometry geom, string tag) {
            Console.WriteLine(tag + " - " + geom.ToString());
        }
    }
}

Intersection(AND)、Union(OR)、SymmeticDifference(XOR)、Difference(A - B)、Buffer(ふくらます)について試しています。

実行すると、コンソールに結果の座標群がずらーと出力されます。

見える化してよ

プログラムによる視覚化は、、、ごめんなさい面倒だったので作りませんでした。

その代わり、GeoJSON 化して GitHub にアップして視覚化しました。

まず演算対象の geometryAgeometryB です。(外側の枠は気にしないでください)

Intersection(AND)

Union(OR)

SymmetricDifference(XOR)

Difference(A - B)

Buffer(Bを膨らます)

いやー 便利ですね GitHub 。大量のマーカーは自動的にクラスター化までしてくれるそうですよ。

こちらは、 Leaflet.js、OpenStreetMap、Maki Project などの FOSS4G が使われています。いいですね。

さて、なんの話か分からなくなってきたので、こちらからは以上です。