「領土等が正しく表示されていない」として、国や自治体、国公立の機関に、「Google マップ禁止令」が出ているそうです。
電子国土Web.NEXT という名称で試験公開されていたものが、「地理院地図」「地理院タイル」として正式公開されました。
地理院タイルは 従来版タイル と仕様が異なります。従来版タイルは 2013年度中に提供終了予定 との事ですし、新しい地理院タイルの方が大幅に仕様が簡略化されたので、こちらを使った方が良いです。
このエントリも「電子国土」を「地理院地図(地理院タイル)」に修正しました。
コメントで頂いていますが、現在は、 「日本向けにローカライズされた」 Googleマップ側でも表記が修正されたようで、当初「問題がある」と言われていた地域は問題が解消されているように見えます。 ただし、下記のように Google Maps API で「region=JP」が指定されている場合に限ります。
これによって「Googleマップ禁止令はもはや無用である」と考えることもできますし、「依然として国の制御下には無い」と考えることもできます。
以下の情報は必要なくなるかも知れませんが、今後「Googleマップ以外の選択肢」の一つとして参考になれば幸いです。
-- 追記ここまで --
これ自体の是非はいろいろあるようですが、公的機関の情報表示が、国によって「under control」じゃないのはイカン、というのはまあ分かりますよ。
で、対策としてはいくつかあります。。。
いずれも対応コストや規約、ユーザビリティを考えると決め手に欠けます。
地理院地図という、国土交通省国土地理院が作って提供している地図データ、および地図システムがあります。
身内ならこれ使えよ、という話です。実際、大学などに送られた通知には、こちらを利用するための「相談窓口」が記載されているようです。
ただし、Google Map API から地理院地図の地図APIに移行することは、前述の通り、それなりのコストが発生します。
ので、 「Google Map API を使って地理院地図を利用する方法」 を紹介します。
Google Map API には他の地図データを Overlay(重ねあわせ)する機能が備わっており、これを利用します。
既に実現されてる方々がいらっしゃいます。
これらのサイトを参考にしてもよいですが、ここでは、Googleマップで地理院地図(地理院タイル)を使う、 最もシンプルな実装例を紹介します。
ここでは、仮の「運用中のサイト」として、Google マップを使うシンプルなページを用意しました。
HTML+Javascript のソースコードはこんな感じ(Geekなぺーじ:Google MAPS JavaScript APIの単純な例 を参考にさせて頂きました)
//google.html
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<style type="text/css">
html { height: 100% }
body { height: 100%; margin: 0px; padding: 0px }
#map { height: 100% }
</style>
<script src="https://maps.google.com/maps/api/js?v=3&sensor=false"
type="text/javascript" charset="UTF-8"></script>
<script type="text/javascript">
function init() {
var opts = {
zoom: 5,
mapTypeId: google.maps.MapTypeId.ROADMAP,
center: new google.maps.LatLng(39, 135)
};
var map = new google.maps.Map(document.getElementById("map"), opts);
}
</script>
</head>
<body onload="init()">
<div id="map"></div>
</body>
</html>
表示が地理院地図に置き換わっているのが確認できると思います。右上の地図タイプ切り替えは要らないので消してます。あと、ロゴの表示が必要なので、左下に置いています。(地理院地図の正式なロゴが公開されたら置き換えてください)
という処理を追加したのが、下のコード。 変更が1行、追加行が30行くらいです。 変更箇所は「←」で、追加箇所は「↓↓」「↑↑」で示しています。 gist でも diff を見られます。
//gsi_map.html
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<style type="text/css">
html { height: 100% }
body { height: 100%; margin: 0px; padding: 0px }
#map { height: 100% }
</style>
<script src="https://maps.google.com/maps/api/js?v=3&sensor=false"
type="text/javascript" charset="UTF-8"></script>
<script type="text/javascript">
function init() {
var opts = {
zoom: 5,
mapTypeId: "GsiMaps", // 地理院地図の英語表記は「GIS Maps」
center: new google.maps.LatLng(39, 135)
};
var map = new google.maps.Map(document.getElementById("map"), opts);
map.setOptions({
mapTypeControl: false // 右上の地図タイプ選択を消す
});
// 地理院タイルを Overlay する
// via https://portal.cyberjapan.jp/help/development.html
map.mapTypes.set("GsiMaps", {
name:"地理院地図(GSI Maps)",
tileSize:new google.maps.Size(256,256),
minZoom:5,
maxZoom:18,
getTile:function(tileCoord, zoom, ownerDocument) {
var img = ownerDocument.createElement("img");
img.style.width = "256px";
img.style.height = "256px";
var x = (tileCoord.x % Math.pow(2, zoom)).toString();
var y = tileCoord.y.toString();
img.src = "https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/std/" + zoom + "/" + x + "/" + y + ".png";
return img;
}
});
// 左下に電子国土ロゴを表示(TODO: 地理院地図の正式なロゴが公開されたら置き換える)
var logo = document.createElement('DIV');
logo.style.padding = '3px';
map.controls[google.maps.ControlPosition.LEFT_BOTTOM].push(logo);
logo.innerHTML = '<a href="https://portal.cyberjapan.jp/portalsite/kiyaku/index.html" target="_blank"><img style="width:32px, height:32px" src="https://cyberjapan.jp/images/icon01.gif" alt="電子国土" /></a>'; }
</script>
</head>
<body onload="init()">
<div id="map"></div>
</body>
</html>
まあ、そうですね。国土地理院にどんどんフィードバックしていきましょう。
地理院地図は「正式公開」になったので安心ですね。
旧Verについては、2013年度中に運用停止とのことです。
地理院地図|利用規約 を見てください。
いかがでしょうか?
現在の Google マップを使ったページに、2箇所の修正を加えるだけで、「問題のない」地理院地図に切り替える事ができます。これは今回の問題の一つの解決方法になるのではないでしょうか?
個人的には、今回の「Googleマップ禁止令」は、国が所有する膨大な地図データを広く使ってもらえるチャンスだと思っています。
地理院地図の表示例を見てもらえれば分かりますが、地図としての見た目はともかく、データの量・精度については、Googleマップ(というかゼンリン)と肩を並べる(あるいは上回るところもある)と思っています。
せっかく税金で作られている地図なんですから、上手に活用していけば日本全体の利益になるんじゃないかと思います。
最後にお約束で、本件のご利用は自己責任でお願いします。